おぼえがき

エンタメと日常記録のブログ

12/15サンボマスターツアー2018ワンマンファイナル「輝きだして走ってく」ZeppDiverTokyo

私は一時期サンボを必死に追いかけていた。だが最近は、正直なところあまり乗れていなかった。
それでもライブは行ける時にやれば行く。ペースは年に一度くらいだろうか。2017年の武道館にも行った。
武道館当日は、サンボ初ということもありかなり盛り上がっていた。武道館だからといって、派手な演出もなく、ライブハウスでやっている時と変わらない、いつもの彼らだった。確かに良かったし行かなかったら後悔していただろう。
でも、直前までチケットを必死に売って完売したフラカンや30周年で遂に到達した怒髪天のような、やったぜ!すげえよ!とオープニングと共に涙無しには観れず感無量になったかというと……そこまででは、なかった。

サンボに少し距離を感じだしたのはいつからだろうか、とサイトでディスコグラフィーを調べてみてぼんやりわかったのは「終わらないミラクルの予感アルバム」が発売された頃。このツアーも、もちろん行っている。
常に挑戦的な彼らだから新しいものを作り出したかったのだろうか。この頃のサンボはサンプラーを使った音を取り入れた曲が多かった。
これに、私は戸惑ったのかもしれない。
元々電気グルーヴが好きで、サンプラーの音楽は嫌いではないはずなのに、違和感を感じたのはスリーピースバンドでゴリゴリのギター、ベース、ドラム音で作る楽曲が好きだったサンボマスターだったから。
この頃のライブで、マストアイテムのギターを持たずにマイク一本でステージを走り回って歌っているメンバーの「孤独とランデブー」を見た時に(私が見たいサンボは何処へ)とこの曲のサビでジャンピングをしながら、どうしようもない切なさを感じていたのだ。

私がサンボのライブに行き始めたのは2007年の両国国技館からだが、その頃の冴えない大人でむせかえるようなライブハウスフロアとはうってかわって最近は若いハツラツとした男女で溢れかえり、サークルモッシュなどが出来るバンドに変わっていた。
もちろんその後も彼らの楽曲やDVDがリリースされれば予約して購入している。でも封を開けるだけで聴かない、ライブ前に車の中で初めて聴くとかそんな感じだった。

今回のライブにもあまり思い入れはなく、ライブ当日がやってきた、じゃあ行こう、と仕事を終えて会場に向かった。
早めに着いたからグッズを買って駐車場に戻ろうと会場に着いたら販売を待つ列が本当に凄くて早々と諦めて車へ帰った。
あんなに買っていたグッズも若者向けデザインになってほとんど買わなくなった。ライブに参戦するのも、過去のツアーTで行っている。この日もそうだった。「きみのためにつよくなりたいツアー」のもの。これは最近だろうと思ってTシャツの日程を見たら8年前でゾッとしたのだが。

整理番号は60番台だった。2000人規模のライブハウスでFCもないサンボのCD先行予約でこの番号は超ラッキー。この番号が来月の同じ所である怒髪天ライブのチケットだったらいいのになあと思いつつ、入場が早かったぶん、フロアの一段上がった真正面というとても見やすい場所を確保することができた。年齢層は幅広いがやはり今回も若者が多い。
そしていつものようにモンキーマジックが流れてライブは始まった。
暗転してこの曲を聴くとやっぱりライブの始まる感じがして、いつもワクワクする。

 

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三人が出てきて一曲目「世界をかえさせておくれよ」で盛り上がる。すっかり定番になった曲。今夜もライブが始まった……と思った次の瞬間、このイントロは。
「これで自由になったのだ」じゃないか!
マジか!!!
開始前、古い曲やってくれたら泣いちゃうとツイートするほどすっかり古参になってしまった私。
マジで泣いちゃう……ことはこの時なくとも目は潤み、久しぶりに聴くこの曲でテンションが一気にブチ上がった。
これで自由になったのだ、これで自由になったのだと叫ぶように声を上げてしまう。
この曲が聴けただけでも、もう……と思う間もなく「青春狂騒曲」ええー!嬉し死ぬ!フロアも爆発してた。
その後は「オレたちの進む道を悲しみで閉ざさないで」ライブの新定番っぽい。みんなサビで飛んでいたけれど、この辺り聴き込んでないから少し静かになる私。
やばい、と思ったのは「可能性」からで、比較的新しい曲(といっても2015年)だけどかなり好きな曲だった。この曲を聴くと毎回グッときてしまうので、胸を熱くしていたら次の曲が「新しい朝」で、ついに涙腺が崩壊してしまった。

今日のセトリやばい。

そんな事を思い始めたら次の曲で卒倒した。
「あなたが人を裏切るなら僕は誰かを殺してしまったさ」
この曲、いつぶりだろう?
それくらいにライブで聴いていない曲だったし、初期の曲は身体に染み付いているくらい聴き込んでるから、崩壊した涙腺はもう理性で止めることは無理、首にかけたタオルを噛んでオイオイ声を上げて泣いていた。フロアの盛り上がりは「おっ?」というくらいだったかもしれないけど、私は嬉しすぎて失禁しそうだった。
「ロックンロールイズノッドデッド」からの「ラブソング」もなかなかにアツい流れで、この辺りから山ちゃんのMCが神がかってくる。
「あんたがた!」と何度もフロアに呼びかける。その言葉はまるで初期のライブを観ているかのような鋭さで私たち客の心をぶち抜いてきたのだ。
これだ。これが欲しかった。
サンボのライブで久しぶりに味わう感覚に酔っていて、気付いたら「ありがとうございます」とメンバーが去っていった。
え? 終わり? 早くない?
時計を見たら二時間が過ぎていた。
こんなに二時間があっという間だとは。旦那にも「早くない?」って聞いたら「早かった」と言ってきた。この感じも懐かしかった。
でも、アンコールがある。
ド定番の最近曲で終わるだろう、そう思ってたら「そのぬくもりに用がある」で、うんうん、最強の曲だよな、と思ってたら最後で「さよならベイビー」ひょえーーーーー!!!!
ありがとうございますありがとうございますありがとうございます!!!と大汗をかき、体力を振り絞るくらいに踊り狂い、手を挙げ、叫んだ。

放心状態でアンコールも終わり、Move on upが流れ出す。本当に終わった。終わって、しまった。


お台場にそびえ立つガンダムの姿、行きに見た時と帰りでは違う景色に見える、それくらいに衝撃を受けたライブだった気がした。
帰りの車内は私のサンボの原点となったアルバム「サンボマスターは君に語りかける」を聴きながら。
旦那も、やっぱり今日のライブはいつもと違って凄かったと、私と同じくらい衝撃を受けていたようで「なんか今日は両国を思い出したな」
ボソッと呟いた旦那の一言に私はうんうんと大きく頷いた。
両国国技館の全曲ライブは、私たちのサンボ初体験であり、生涯忘れることの出来ないライブだ。
つまり、それくらい最高の体験だったということ。


離れ気味だった気持ちを掴まれて、まだまだサンボが自分の人生に必要なのだ、俺たちをもっと見ろと一気に引き戻された、そんな夜だった。

どんなになったって、サンボマスターが、やっぱり私は好きみたいだ。